自宅から老人ホームへの住み替える場合、ホームの入居時に必要な費用があります。入居金や敷金、権利金など、施設によって違いますがその金額も、サ高住などの賃貸契約ですと数十万円からという事になりますし、有料老人ホームでも、数百万円から数千万円の入居金や権利金などが必要になります。
この初期費用を自己資金でまかなえる方にはあまり関係のない話ですが、自宅を売らないとその費用が捻出出来ないという方にとってはとても大切な問題があります。
それは、自宅を売却して引き渡す(自分が出て行く)タイミングと行先の施設への入居(お引越し)のタイミングの調整です。
高齢者の住替えのケースで、先に自宅が売れて、その時点で入居したい老人ホームが決まっている場合。もし、入居するホームの入居金が、自宅の売買契約の手付金で収まる範囲でしたら、入居金を支払って先に入居して自宅を引き渡せば良いので心配は無さそうです。
しかし、入居先のホームの入居金が、売買契約の手付金では足りない場合、自己資金で賄うか、あるいは、売買契約の手付金を多くしてもらうか、という事になります。
一般的な不動産売買契約では、中古戸建てや土地などの場合、手付金は売買代金の1割かつ、1000万円を超えない範囲。ということになっています。もし、それを超える金額の手付金で契約をする場合、売主が業者である場合については、手付金の保全措置を講じなければならないという事になっており保全の方法は以下の通りです。
(1)指定保証機関による保証・銀行等による保証
(2)保険事業者による保証
(3)指定保管機関による保管の方法
しかし、一般の方が売主のケースでは、手付金の保全措置が義務付けではありません。
また、買主が一般の方の場合、そのような手付金の額が通常より多いイレギュラーな条件で契約に応じてくれる可能性は極めて低いでしょう。
では、気に入った老人ホームが見つかっても、そのホームの入居金が自宅を売却した売買契約の手付金では足りない場合は、そのホームへの入居をあきらめるしか無いのでしょうか?
その場合の解決策として、建売業者などを買主として契約するという方法があります。
業者が買主であればそのような契約条件に関しても、ある程度売主さんの都合に合わせてくれる可能性があります。
また、冒頭で出てきた「手付金が希望する老人ホームの入居金を上回る金額のケース」でも、一般の方が買主の場合、買主さんは住宅ローンなどを利用して買うケースがほとんどですので、契約にローン特約(ローンが金融機関に否認された場合契約が白紙解約になる特約)が付きます。
そうなると、手付金を安心して老人ホームの入居金に流用できない(白紙解約になった場合、手付金は返金しなければならない)という事になります。
しかし、業者が買主の契約ではそのような白紙特約も付きませんので安心して受領した手付金を老人ホームの入居金に流用する事ができます。