【質問】自宅の名義が亡くなった父の名義のままです。
相談者 大田区 70代 男性 K様
数年前に妻に先立たれ、現在は自宅で一人暮らしです、デイサービスや食事の宅配サービスなどを利用して何とか生活して居ますが、最近、家の中で転倒して怪我をしてしまい、それ以来自宅での生活に不安を覚えるようになりました。出来れば、自宅を売却して老人ホームにでも行きたいなと思っておりますが、現在の自宅は父から相続したもので、土地と建物の名義が父の名義のままになっています。今後、自宅を売却する場合、何か問題がありますでしょうか?
【回答】
ご質問の件にお答えします。ご自宅の土地建物の名義が亡くなったお父様の名義のままとの事ですが、K様にはご兄弟はいらっしゃるでしょうか?それによって問題解決の難易度が変わって参ります。
もし、K様が生まれたときからご兄弟がいらっしゃらない一人っ子であればあまりご心配なさる事はありません。その場合K様一人の意思で相続手続きを進める事が出来ます。
しかし、ご兄弟がいらっしゃって、かつ、お父様の遺言書などが無い場合、ご兄弟全員(ご兄弟が既にお亡くなりになっている場合そのお子さん等)で遺産分割協議を行い、法定相続人全員の合意を得た上で相続手続きを進める必要が御座います。また、古い時代の相続が手続きを行わないまま放置されているケースでは、被相続人がお亡くなりになった時点の法令が適用になりますので、場合によっては現在の相続法のルールと違うルールに基づいて手続きを進めなければならないケースも御座います。
以前、実際にあった事例で被相続人には子供がなく、奥様とご兄弟が相続人になる事例でした。ご主人がお亡くなりになった年月日が昭和52年でしたのでその時点での法令に基づき相続人を確定しました。じつはこのようなケースで現行の民法規定では、ご兄弟がすでに亡くなっている場合その子(甥、姪など)が代わりに相続する(代襲相続)という事になりますが、ご兄弟の子もすでにお亡くなりになっている場合、さらにその先(甥や姪の子)は再代襲しないという規定になっています。
ところが昭和55年12月31日以前に発生した相続の場合、旧規定では同様のケースで甥や姪の子も再代襲するという規定になっています。このケースでは最終的に法定相続人の数が50人近い人数になってしまい最終的に皆さんから遺産分割協議書に署名捺印を頂くまでに数年の年月を費やしてしまう事になりました。もし、ご自宅などの名義が故人のままという方がいらっしゃいましたらなるべく早めに相続手続きをされることをお勧めします。
私どもでは行政書士事務所と併設で宅地建物取引業者免許も取得しておりますので相続問題と不動産売買を一括してご相談に乗り解決のお手伝いをすることが出来ます。是非、お気軽にご相談下さい。