身近なご家族が亡くなった時、あなたはどうしますか?日本は超高齢化社会を迎えており、内閣府発表の統計資料では、2060年には75歳以上の方が人口の約27%を占め4人に1人が75歳以上ということになるそうです。当然、今後ご家族が亡くなり相続手続きをしなければならない状況に直面する方も増える事が予想されます。しかし、そのような手続きを誰にも聞かずにスラスラ出来てしまう人はほとんど居ないのではないでしょうか。人が一生のうちで身近な家族の死に直面する場面はそう多くありません。ましてや、喪主などの立場で葬儀にかかわったり、遺族を代表して相続手続きの矢面に立ったりする場面はなおさらでしょう。
しかし、自分の親の死など、そのような場面はそう遠くない将来に突然やって来るかもしれません。では、身近な人が亡くなった時はどのような手続きをすれば良いのでしょうか?
大きく分けて、相続の手続きは、相続税を納める必要がある場合と相続税の納税は必要ないケースの二つに分かれます。良く、「相続手続きに期限は有るのですか?」というご質問を受けますが、相続手続きの期限というものではありませんが、相続税の納税が必要なケースでは、申告納税期限が決まっており、ご家族がお亡くなりになって(相続開始を知った日)から10か月という事になっています。しかし、相続税は全てのケースに課税されるわけではありません。では、どのような場合に相続税は課税されるのか?相続税には基礎控除という枠があり、遺産の相続税評価の総額がその枠を超えた場合に課税されます。現在、基礎控除は3000万円プラス相続人の人数×600万円です。その基準となるのは、相続税評価額ですので、特に不動産が相続財産の中にある場合の手続きは、相続税の特例措置がありますので、一見、基礎控除を超えてしまうようなケースでも特例措置の適用によって基礎控除を下回る事もあります。その場合、相続税の特例措置を適用する旨の申告をしなければなりません。
相続税の納税が必要ない(特例措置の適用も関係ない)場合、とくに相続手続きに期限などはありませんが、なるべく速やかに各種手続きを行った方が良いでしょう。その場合、まず亡くなった方の遺言が有るか無いかの確認が手続きの最初のスタートです。例えばご本人の自宅のタンスの引き出しから遺言書と書かれた封筒が出てきたとします。さあ、あなたならどうしますか?「とりあえず何が書いてあるか気になるので開けます・・・」ちょっと待って下さい。表に遺言書と書かれた封筒が出てきた時点で、それは、ご家族が遺された自筆証書遺言と思われますので、開封しないで家庭裁判所に提出して相続人(又はその代理人)の立ち会いの下で開封して検認という手続きを経なければなりません。これを怠ると5万円以下の過料に処せられる場合があります。
「出てきた遺言を開けて読んでみたら、他の兄弟の取り分が多かったのでこっそり破いて捨てました・・」いやいや、ちょっと待って下さい。これはもっといけません。この場合、相続の欠格事由に該当しますので、そんなことをしたら、あなたは何も相続出来なくなる可能性があります。
以上のように自筆証書遺言が出てきた場合は速やかに裁判所に提出して検認手続きを行い、その上で検認済証明書というものをもらって下さい。遺言が公正証書遺言の場合このような検認手続きは必要ありません。そして、遺言の中に記載されている内容に従って遺言を執行します。この場合、遺言の中で遺言執行者が指定されているとよりスムーズに手続きを行う事が出来ます。