【質問】先日、母が亡くなりました。実家に行って遺品の整理などをしておりました所、タンスの引出しから自筆の遺言書が2通出て来ました。一つは平成26年4月1日付で、自宅土地建物は兄に、預貯金は私にという内容でした。もう一つは平成27年10月7日付けで兄に全ての財産を相続させるという内容でしたこの場合どのようにすれば良いのでしょうか?
相談者 横浜市 50代 男性 M様
【回答】M様のご質問で、遺言が2通出てきたとの事ですが、原則、遺言は法律で定められた遺言の方式に従えば、いつでもその内容の一部または全部を取り消すことができます。また、2通の遺言で内容が抵触する場合後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなされますので後の遺言の内容が有効ということになります。しかし、あとの遺言ではお兄様に全ての財産を相続させるとなっていますのでM様の遺留分を侵害していると思われます。遺留分制度とは被相続人(亡くなった方)が遺言などで自らの財産を自由に処分した場合でも保護される法定相続人の権利の事です。M様のご相談のケースでは法定相続分はお兄様が2分の1、M様が2分の1となりますので、例え遺言の内容がお兄様に全て相続させるとなっていても、相続財産の4分の1についてはM様が遺留分減殺請求権という権利を行使する事により取り戻すことができます。ただし、遺留分減殺請求権の行使には行使できる期限があり、M様が自らの相続開始を知った時から1年間行使しなければ消滅時効になります。また、自らの相続開始を知らなくても10年行使しなければ消滅します。自筆の遺言書との事ですので、消滅時効の起算点は裁判所で遺言書の検認手続きをされた時からということになると思われますのでもし、検認手続きからそろそろ1年になるという事でしたら、早めにお兄様に対して内容証明郵便で「遺留分減殺請求権」を行使する旨の意思表示を行う事をお勧めします。