先日のニュースで、東京23区内で死亡した単身の高齢者の数が昨年、初めて3000人を超えて、統計を取り始めた13年前の2倍以上に増えたと報じていました。男女別で見ると男性が63%、女性が37%で男性の比率が比較的高いそうです。このような孤独死のケースで身寄りがないなど、ご遺体の引き取り手がない場合、区が火葬し、自治体の依頼を受けた寺などが遺骨を一時保管します。しかし、近年、数が増え続けているため、自治体の中には従来3年であった保管期限を2年に短くするなどの対策をとる所もあるようです。
皆さんの中にも少なからず自分の将来に不安を持っている方もいるのではないかと思いますが、内閣府が全国の高齢者にアンケートを取ったところ、4割以上の人が孤独死を身近な問題だと感じているようです。このように、孤独死が増えている背景として、一人暮らしの高齢者が増えている事や、ご近所との交流が少なくなっている事などが考えられます。特に次の項目のどれかにあてはまる方は要注意です。
- 独身で頼れる家族が居ない
- 既婚だけど子供が居ない
- 身内は兄弟だけだが兄弟も高齢である
- 親族がいるが長年疎遠にしている
- 親族がいるが遠方に住んでいる
では、人が亡くなるとどのような事を行わなければならないのでしょうか?ざっと挙げただけでも以下のような事を行わなければならないのではないでしょうか。
- 役所での様々な手続き
- 親族・友人・知人などへの連絡
- 葬儀・埋葬など
- 遺品の整理・家の片づけ
- 故人の各種契約の解約など
- 遺産相続手続き
因みに、この中でご本人に身寄りがなく孤独死をした場合に行政がやってくれるのは3番の「葬儀埋葬」だけです。では、それ以外の事は誰がしてくれるのでしょうか?
どれも本来、家族が居れば家族が無償でやってくれる事ですが、身寄りのない方が孤独死などでお亡くなりになった場合、結局、大家さんやお友達など身近にいる他人に迷惑をかけてしまう事になります。もし、自分が・・と考えた時に人生の最期の締めくくりで他人に迷惑をかけるというのはとても残念な最期だと思うのは私だけでは無いでしょう。では、どのような対策をしておけば人生の最期で人に迷惑をかけずに済むのでしょうか?
まず考えられるのは、遺言書を作成して備えておくという事です。例えばご本人に多少なりとも財産がある場合、何の準備も無く孤独死をしてしまい、身寄りがなかった為、身近にいた他人に迷惑をかけた場合、遺言が無くその方が法定相続人で無ければ、原則その方はあなたの財産から1円も受け取る権利がありません。場合によっては、特別縁故者としてその一部又は全部を受取れる可能性もありますがその場合も非常に時間や手間がかかります。
そこで、そうならない為に、遺言書を作成しておくと良いでしょう。例えば身寄りのない方でも身近にお願いできる方がいれば負担付き遺贈で、自らの最期の締めくくりをお願いする代わりに財産の一部又は全部をを遺贈するという方法が考えられますが、本来、葬儀や法要のやり方についての指定は、法定の遺言事項にあたりません。遺言者の希望として遺産の分配等に関する付帯事項として記載する事は可能ですが、できれば遺言書の中で遺言執行者を指定してその方との間で死後事務委任契約などを別途交しておいた方が良いでしょう。