都市部の地主さんなどが、自らの所有する土地に金融機関からお金を借りてアパートやマンションなどを建設するというのは昔から良く行われている相続対策です。これによって得られる効果としては、土地の課税評価が更地から貸家建付地となることにより、例えば借地権割合が60%の地域であれば、自用地よりも約18%程度相続税評価額が圧縮できることになります。また、建築資金の借入により資産にマイナスが発生し財産の総額を圧縮出来るという効果もあります。
このような賃貸経営を考える場合に、これまではアパートやマンションが一般的でした、しかし、近年は少子高齢化で人口は減少傾向にあります。一部の都市部の人気エリアを除けば、賃貸の需要も年々減少傾向にありますので、実際にこのような相続対策の為に建てたアパートやマンションで入居率が悪化して借入金の返済も持出しになり負の遺産になっている事例も良く耳にします。
そこで、最近注目されているのがサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)や有料老人ホームなどの高齢者向けの物件による賃貸経営です。我が国の全体的な人口は少子化により減少傾向にありますが、高齢者の人口が総人口に占める割合は、昭和60年に10%を超え、20年後の平成17年には20%を超え、その8年後の25年に25.0%となり、初めて4人に1人が高齢者となりました。
また、国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、この割合は今後も上昇を続け、平成47年には33.4%となり、3人に1人が高齢者になると見込まれています。また、一般の賃貸と違い高齢者向けの物件であれば多少の立地の悪さをカバーして集客が見込める為、より安定的な賃貸経営が期待出来るというメリットもあります。