皆さん、「おしどり夫婦」といえば仲の良い夫婦の代名詞ですよね。辞書で調べると、「夫婦などの男女がむつまじく、いつも一緒にいること。また、そういう男女のたとえ。」などと書いてあります。
その昔、オシドリのつがいの1羽を捕らえてしまうと、残ったもう1羽がいなくなった相手を思い続け、挙句の果てに死んでしまうという言い伝えがあったそうです。この言い伝えの、「思い死ぬ鳥」という言葉が短くなって、オシドリという名前が付けられた、という説もあります。
しかし、実際のおしどりは、単に仲むつまじい訳ではなく、オスが、メスに恵まれない他のはぐれオスたちから自分のパートナーを取られないよう、寄り添って見張っているだけ。とか、繁殖のたび、毎年のように相手を変えるため、一生同じ相手と暮らすわけではない。とか、メスのもとを離れたオスは、また別のメスに出会うとその場で求愛の行動をとることもある。とか・・・
調べてみると、実際のおしどりは、相手のことを一途に想う仲むつまじい夫婦という人間のイメージとはかなり違い、かなり奔放な男女関係のようです。
しかし、人間のおしどり夫婦にはちゃんとご褒美があります。「贈与税の配偶者控除」という制度をご存知でしょうか?婚姻期間が20年以上の夫婦が対象となる事から「おしどり贈与」なんて言われる事もあります。
通常、たとえ夫婦間であっても贈与税の基礎控除である年間110万円を超える贈与については贈与税が課税されます。しかし、婚姻期間が20年を超える夫婦間でマイホームまたはマイホームの購入資金を贈与しても、2000万円まででしたら贈与税が非課税になるというものです。したがって、この制度を活用すれば贈与税の基礎控除110万円と併せた2110万円までは贈与税を課税されることなく贈与できるということです。
適用要件は以下全ての要件にあてはまることが必要です。(相法21の6①②、相令4の6、相基通21の6-1)
① 婚姻期間が20年以上の配偶者からの贈与であること
② 居住用不動産(居住用の土地・借地権・家屋)の贈与または居住用不動産取得の為の金銭の贈与であること
③ 贈与を受けた年の翌年3月15日までに、贈与を受けた居住用不動産または、贈与を受けた金銭で取得した居住用不動産に実際に居住しており、その後も引き続き居住する見込みであること。
また、通常の贈与であれば相続開始前3年以内の贈与であれば相続時に相続税の計算上相続税の課税価格に加算しなければなりませんが、この、おしどり贈与の適用を受けた贈与財産についてはその必要もなく、相続税が課税されない財産となります。
人間の場合、夫婦仲良くおしどり夫婦でいれば結構いい事あるんですね。