日本では現在、先進国の中で先がけて少子高齢化による人口減少が進行しています。総務省が5年ごとに発表資料によると、全国の空き家の件数は平成20年度の調査では757万戸だったものが、その5年後、平成25年度の調査では、さらに63万戸増えて820万戸になっています。この数字が一体どの位の件数かというと、東京都の総住宅戸数が678万戸ですから、東京都の住宅が全部空き家でもまだおつりが来るくらい全国に空き家があるということになります。ちなみに全国で一番空き家「率」が高いのは山梨県です。空き家率17.2%、約4.5戸に1戸は空き家という状況です。首都圏はどうかというと神奈川県は10.6%、東京都は10.9%と共に空き家「率」は低い方から数えた方が早い位のランキングなんですが、東京や神奈川などの都市部は住宅の総戸数は地方に比べて多いので、空き家「数」ですと全国1位は東京都で80万1400戸ということになります。
このような中、元々親が住んで居た実家が親の死後空き家になっているケースも多い様です。首都圏のエリアなどではいくら少子高齢化で人口が減少傾向にあるといってもまだまだ住宅に対するニーズはあります。ですから、相続した空き家を売却する場合もあまり買手が居なくて困る事は無いでしょう。しかし、相続した実家が地方であまり住宅ニーズが無いようなエリアにある場合売りたくても売れないというケースもあるようです。しかし、このような空き家でもこれまでは居住用建物の敷地のうち1戸につき200㎡までの部分については、固定資産税評価額の6分の1が課税標準に、200㎡を超える部分については3分の1税標準になるという制度のおかげで空き家のまま保有していてもそんなに大きな負担にはならなかった為、とりあえずそのまま置いておこうという事で空き家のまま放置されていたケースも多かったのではないでしょうか。しかし、2015年5月には「空家等対策の推進に関する特別措置法(空き家対策法)」が全面施行されこれまでとは事情が変って来たようです。既存の空き家で、防犯上、景観上、衛生上などの観点で危険や害があると判断されたものについて、「特定空き家」に認定されます。そうなると該当する空き家への立ち入り調査が行える他、空き家の修繕や撤去を命令、さらには行政代執行で建物を強制的に解体、その費用を所有者に請求できるなどとしています。また、そうした空き家について固定資産税の軽減措置についても見直すとしています。そうなると固定資産税が6倍に上がったりする可能性も出て来る訳です。
では、売却するかという事になった場合でも場所によっては中々買手が付かないという事もあるでしょう。買手が見つかりそうな場所に空き家がある場合でも譲渡課税や相続税の問題もありますので何時売るか、誰の名義にして売るかなどで同じ価格で売れた場合でも手取り金額に差が付いてしまう事もありますので、不動産の売却だけでなく相続の問題にも詳しい専門家などに良く相談して進めた方が良いでしょう。