様々な商品やサービスに関して、その広告を行なう際に、実際のサービスよりも誇大な表示や実際の内容より著しく優良と誤認させるような表示で広告は消費者の合理的な選択や、事業者間の公正な競争を阻害する事になるので、景品表示法やその他の業法に基づく広告規制が定められています。
一般的に、老人ホームと総称されているものでも、その種類によって根拠法令も様々で、その、それぞれで広告の規制内容も違います。
例えば、介護老人保健施設では、広告できる事項が介護保険法で限定されています。
(広告制限)
第九十八条 介護老人保健施設に関しては、文書その他いかなる方法によるを問わず、何人も次に掲げる事項を除くほか、これを広告してはならない。
一 介護老人保健施設の名称、電話番号及び所在の場所を表示する事項
二 介護老人保健施設に勤務する医師及び看護師の氏名
三 前二号に掲げる事項のほか、厚生労働大臣の定める事項
四 その他都道府県知事の許可を受けた事項
2 厚生労働大臣は、前項第三号に掲げる事項の広告の方法について、厚生労働省令で定めるところにより、必要な定めをすることができる。
厚生労働大臣が定める介護老人ホームが広告し得る事項は告示(平成11年3月31日厚生省告示第97号)により、施設及び構造設備に関する事項、職員の配置員数、提供されるサービスの種類及び内容、利用料の内容などが可能とされています。
有料老人ホームについては、景品表示法に基づき、公正取引委員会の告示(平成16年4月2日告示第3号)で「有料老人ホームに関する不当な表示」が定められており、土地建物の権利関係、施設設備、居室の利用、介護サービス、職員、管理費、などの項目についてそれぞれ規定されています。
また、サービス付高齢者向け住宅では、高齢者の居住の安定確保に関する法律(高齢者住まい法)で誇大広告の禁止規定が定められています。
(誇大広告の禁止)
第十五条 登録事業者は、その登録事業の業務に関して広告をするときは、入居者に提供する高齢者生活支援サービスの内容その他の国土交通省令・厚生労働省令で定める事項について、著しく事実に相違する表示をし、又は実際のものよりも著しく優良であり、若しくは有利であると人を誤認させるような表示をしてはならない。
最近はインターネットの普及により、高齢者施設を探すときにインターネットを利用して各施設のHPを閲覧する方も多いと思います。厚生労働省では、例えば、医業等に関する分野について、これを広告とはみなさないという立場をとっているようです。しかし、最近美容整形などの分野でHPに記載されている治療内容や費用と、受診時の内容が異なるといった苦情の増加を受けてガイドライン(医療機関のホームページの内容の適切なあり方に関する指針)を設けたりしていますので、高齢者向けサービスの分野においてもそのような事も踏まえてHP等も適切な記載をする事が求められます。