法務省の在留外国人統計によると2014年6月末現在、日本に居住する在留外国人の数は約206万人、外務省の海外在留邦人数統計(平成24年速報版)によると海外に居住する日本人の数も約118万人となっています。
行政書士の業務には相続関連の業務や許認可関係の業務だけではなく、入管申請取次業務などもありますので、今日は日本人と外国人の国際結婚カップルの相続について考えてみたいと思います。
外国籍の配偶者が亡くなった場合、外国の相続法は一般的に「包括承継主義」と「管理精算主義」に大別されます。
包括承継主義では債務を含む相続財産の全てが相続人に引き継ぎますが、管理精算主義では遺産は遺産管理人に一旦引き継がれ、財産がある場合のみ相続人に帰属し、債務は承継されません。
(包括承継主義を採用している国)
日本、ドイツ、フランスなど
(管理精算主義を採用している国)
アメリカ、英国など
また、相続が発生した場所に着目した考え方として、相続統一主義と相続分割主義というものもあります。
相続統一主義とは相続財産の種類によって区別することなく、全相続財産を被相続人に関係の深い国の法律によるとするものです。その中でもさらに住所地法主義を採用する国と本国法主義を採用する国があります。住所地法主義を採用している国は、スイス、デンマークなどで、本国法主義を採用している国は、ドイツ、イタリア、日本、韓国などです。
また、相続分割主義とは現金や株などの動産と、土地や建物などの不動産について別々に規定を定めているというものです。これは、動産は被相続人の本国法により、不動産はそれが所在する国の法律によるという考え方で、相続財産の不動産が複数国にまたがって存在する場合は、その各国の法律を調べる必要があります。(この方式を採用している国は、アメリカ、イギリス、フランスなどの国です。)
日本では、「相続は被相続人の本国法による」と規定されています。つまり、外国人の相続は、その外国の法律が適用されることになります。
しかし、その本国に常住地の法律を準拠する旨の規定があれば、日本に常住する外国人にも日本の法律が適用されます。このように、国際私法としての相続法の統一は、各国独自の事情もあり非常に困難です。
ハーグ国際私法会議では、「死亡による財産相続の準拠法に関する条約」を作成しており、被相続人に自分の相続に適用されるべき法律をあらかじめ指定しておくことを認めていますが、現状で批准しているのはオランダだけです。
以上のように国際結婚のカップルで外国人配偶者が亡くなった場合の相続手続きは、準拠法の確認やその外国法の内容の確認などもあり注意が必要です。
相続って本当に奥が深いですね。by水野晴夫風 part3に続くのか!?・・・